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戦死した夫は三十二歳のままで柳原タケさんの心の中に生き続けています。

479: 癒されたい名無しさん 投稿日:2006/02/05(日) 19:36:21 ID:CnhYgEES

天国のあなたへ   柳原タケ

  娘を背に日の丸の小旗をふって、あなたを見送ってから、もう半世紀がすぎてしまいました。
  たくましいあなたの腕に抱かれたのは、ほんのつかの間でした。
  三二歳で英霊となって天国に行ってしまったあなたは、今どうしていますか。
  私も宇宙船に乗ってあなたのおそばに行きたい。
  あなたは三二歳の青年、私は傘寿を迎える年です。
  おそばに行った時、おまえはどこの人だ、なんて言わないでね。
  よく来たと言って、あの頃のように寄り添って座らせて下さいね。
  お逢いしたら娘夫婦のこと、孫のこと、また、すぎし日のあれこれを話し、思いっきり甘えてみたい。
  あなたは優しく、そうかそうかとうなづきながら、慰め、よくがんばったねとほめて下さいね。
  そして、そちらの「きみまち坂」につれて行ってもらいたい。

  春、あでやかな桜花
  夏、なまめかしい新緑
  秋、ようえんなもみじ
  冬、清らかな雪模様

  など四季のうつろいの中を二人手をつないで歩いてみたい。
  私はお別れしてからずっとあなたを思いつづけ、愛情を支えにして生きて参りました。
  もう一度あなたの腕に抱かれ、ねむりたいものです。
  力いっぱい抱きしめて絶対にはなさないで下さいね。

Web版「正論」 遊就館の見学記録より
http://www.sankei.co.jp/pr/seiron/koukoku/2003/0308/message1.html







480: 癒されたい名無しさん 投稿日:2006/02/05(日) 19:41:49 ID:CnhYgEES

>>479 続き

戦死した夫は三十二歳のままで柳原タケさんの心の中に生き続けています。
傘寿(さんじゅ)とありますから、この天国への書簡はタケさんが八十歳のときに
書いたものであることがわかります。おそらくタケさん自身もずっと新婚当時
の気持ちのままで夫と対話してきたのでしょう。

 それにしても、なんとも瑞々しい文章です。愛情の継続性に驚嘆します。
同時に、つかの間の新婚生活しか過ごせなかった時代に巡り合わせてしまった
不遇にことばもありません。この一文をメモ帳に書き留めていましたら、三人連れ
の中年女性が立ち止まりました。彼女たちは読み終えたあと、嗚咽しながらその
場を離れていきました。


「正論」編集長 大島信三
 「正論」平成15年8月号 編集長メッセージ



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