人気記事
逆アクセスランキング
このサイトについて
このサイトについて

ソストラダーニエでは、相互RSS・相互リンクを募集しております。
ご検討いただける方は上記リンクを閲覧頂き、
メールフォームにてお問い合わせください。
RSS
RSSICON

父が母にお金をせがむ姿を見るようになった。

246: しるぶぁ 投稿日:2006/08/05(土) 14:37:26

私が幼稚園の頃は、まだ割と裕福だった。
父は海外と国内を飛び回っていた。男特有の微妙なセンスで選んだお土産も、幼稚園の私には新鮮で煌めいて見えた。一番のお気に入りだったカナダのピンは、しばらく幼稚園の制服帽に付けていた。

でも気付いたら、父は転勤することになっていた。母と私も、本州に引っ越すことになった。住み慣れた家と離れるのは嫌だったけど、大好きな母と離れることの方が嫌だった。だから、伯母夫婦と従姉妹の和邸に住むことを拒否した。







247: ほんわか名無しさん 投稿日:2006/08/05(土) 15:13:12

卒園した私は家族と車と共にフェリーに乗って海を渡る。そのあと車か電車で今の家まで移動した筈なんだけど、私には記憶が無い。母の背で眠っていたのか、歩きながらずっとじっと地面を見つめていたのか。
気付いたら、汚くてちっさい家の前にいた。
意識が家に向いた私は、衝撃をうけた。余りの驚きに、かなりハイになっていたのは確りと覚えている。


248: ほんわか名無しさん 投稿日:2006/08/05(土) 15:17:42

家には庭が1つもなく車を停めるギリギリのスペースがあるだけ。緑なんてなく申し訳程度に団栗の木が一本。ドアを開けると古臭い嫌な臭いがした。鼻の良かった私には一番こたえた。


249: ほんわか名無しさん 投稿日:2006/08/05(土) 15:21:07

顔を上げればすぐ向こうには階段が見える。居間は狭い。家の中に段差がある。風呂場がいきなりある。台所が狭くて汚い。部屋の壁を押すとへこむ。いたるところに汚れや古臭さが出ていた。気持ちが悪かった。


250: ほんわか名無しさん 投稿日:2006/08/05(土) 15:22:39

私は家中を走り回って何度も『ママ何でこの家こんなに汚いの?こんなの家じゃないよ』と繰り返した。母も興味深そうに家を見て回った。その時父はどんな気持ちでどんな表情をしていたのだろう。母っ子の私は父なんてほったらかしだった。


252: しるぶぁ 投稿日:2006/08/05(土) 15:25:11

すみません。続きはまた書かせて頂きます。
私の実話なので、少し見苦しいでしょうが、お許し下さい。


254: しるぶぁ 投稿日:2006/08/05(土) 19:11:51

そろそろ小学校の入学式が始まるという時期に、私は気付いた。その事実に気付いた途端、新しい学校への望みは絶ち消え愕然とした現実だけが立ち尽くした。

新しい学校生活には、友達がいないのだ。一人として、誰も。当然なのだが、私にはこの世の終わりの様に思えた。そんな心で迎えた学校で、私は変わった。
運動会やお遊戯会のリーダーから、花の水やり係へ。友達の中心という場所から、一人ぼっちに。
私は、変わってしまった。


255: ほんわか名無しさん 投稿日:2006/08/05(土) 19:19:31

辛かった。けど、変わったのは私だけじゃなかった。母はいつの間にか働きに出るようになっていた。父がいつの間にか会社をクビにされていて、どうにか就いた新しい職は給料がほんの少しだったから。
その年から、お誕生ケーキは店で買うようになった。ごめんねと謝る母を見るのが嫌で、幼心に無理をして笑った。大丈夫だよと


256: ほんわか名無しさん 投稿日:2006/08/05(土) 19:30:16

ただ、変化はそれだけじゃない。母が職に就いたため学校終了後に夕方まで預けられた学童という学校付属の児童依託所で友達の様なものもできた。

そして学校にもなれたある日の朝、1つの出会いがあった。

その日は朝目覚めたときに、側に誰もいなかった。一階に降りても父と母の影はなかった。


257: ほんわか名無しさん 投稿日:2006/08/05(土) 21:13:09

そう焦ることはなかった。家の前から親の声が聞こえていたから。それにしても騒がしかったので慌てて見に行こうとすると、母が部屋に戻って来た。家の前の溝に猫がはまっていると言う。そういえば、しばらく前から猫の声が響いていた。


260: しるぶぁ 投稿日:2006/08/06(日) 13:53:26

帰ってきたら綺麗に洗われた三毛猫がいた。新しい我が家の一員だった。でも入れ替わるように、私がお年玉とかで貯めておいた20万円が消えていた。
原因は、お父さんだった。

次第に朝、父が母にお金をせがむ姿を見るようになった。それは私が中学校に入っても続き、高校に入る頃には母ももう諦めていた。その頃には家計は母のお陰でもっていた。私は少しでも母を楽にしようと必死で勉強した。どうしても奨学金をとりたかった。
そしてそんなある日


263: ほんわか名無しさん 投稿日:2006/08/06(日) 15:13:05

父が家から姿を消した。心臓がおかしななりかたをした位におどろいた。父は、どれだけ待っても、帰ってこなかった。
私は奨学金をとって大学へ進んだ。友達だった野良猫がどんどん死んでいくのを見たから獣医になろうと思っていたけれど、母の作った小さな介護会社をつぐためにそれの資格だってとった。
やっと自立する力が付いてきた頃に、母が他界した。よく頑張ったねと言ってくれていた母に、今度は私が言う番だった。


264: しるぶぁ 投稿日:2006/08/06(日) 15:34:19

生活は学びの場から会社に移り、ヘルパー(社員)の様子を見ようと歩いていると廊下で老人が話しかけてきた。老人は私を見て「これ…おとしたよ〇〇〇」とその手に握ったピンを差し出した。

何故、私の下の名を呼ぶのだろう。
何故、私が落としたとわかったのだろう。
その、カナダ土産で昔父に貰ったピンが。
老人は目に涙を溜めていた。「〇〇〇…パパです。…こんなパパでごめんな。ママ死んじゃったんだなあ。」

   老人は父だった。


265: ほんわか名無しさん 投稿日:2006/08/06(日) 15:44:57

辛い生活に耐えかね母と私をおいて逃げ出した、父。でも、本当はあのまま父が家にいると借金の取り立てが家にきてしまうから、それからはせめて守ろうと、必死で借金取りの目を引き付けて逃げていたんだと教えてくれた。


266: ほんわか名無しさん 投稿日:2006/08/06(日) 15:46:37

辛い生活に耐えかね母と私をおいて逃げ出した、父。でも、本当は私達を助ける為に姿を消したのだと。あのまま父が家にいると借金の取り立てが家にきてしまうから、それからはせめて守ろうと、必死で借金取りの目を引き付けて逃げていたんだと教えてくれた。


267: ほんわか名無しさん 投稿日:2006/08/06(日) 15:47:22

説明を続ける間も、父はずっと「ママ…しんじゃったんだなぁ…」と呟いていた。母はもういないけど、今は父と三代目の三毛猫と私で暮らしている。


お母さん、お父さんは、私がお世話するよ。大事な家族だもんね。私まだ、頑張ります。お父さんに会ったら怒らずによく頑張ったねって、言ってあげてくださいね。



人気記事
「父親」 カテゴリの関連記事
[ 2014/07/11 10:01 ] 父親 | CM(0)

■コメント

■コメントの投稿