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わしも女房もな、一目散にアルバム取りにいったんや。

947: もう少しここに ◆16i1keR0oc 2004/10/14 02:25:04 ID:6wlpvjzV

ある日の日記です。

濡れたアスファルトが朝日を浴びて時々きらきら光っている。雨はあんまり降るといやだけど、雨上がりは悪くない。しずくのついた木がすこしうれしそうで、それもまたいい。
以前の日記で「苺の話」として書いたクラウディアさんと弥三郎さんの話が本になっていた。『クラウディア 最後の手紙』。本屋さんでほんの何ページかめくっただけで、
これはまずいと感じた。立ち読みしてても泣いてしまうに決まってる。すぐ買って帰って、一気に読んだ。たぶん今年読んだ本の中で一番いい話になるだろう。
今年はまだ半分も過ぎてないけど、そんな予感がする。

弥三郎さんの話を読んで、別のおじいさんを思い出した。

Aさんは学生の頃、ふとしたことで知り合ったおじいさんで、ちょっと格好いい人だった。油断するとすぐ戦争の話を始めるのが玉にキズだったけど、Aさんの話はどこまで本当でどこから嘘か境目がわからなくて面白かった。
昔は設計技師でな、旧満州の鉄道の設計をしてた。日本に帰りたくても帰れんでな、もうそのまま向こうで骨埋めるもんやとあきらめとった。それがどういう訳か今のこの清掃会社の社長の親父を向こうで世話したんが縁でな、
敗戦のごたごたの最中にどさくさで帰れたんや。墜落しとった飛行機を修理して操縦してな。ようやったわ。でもな、帰ってきたはええけど、大変やったで。食うもんはないしな。なんでもやったわ。元の仕事に戻れたんは
だいぶ経ってからやけどな。ちなみに大阪の地下鉄の設計したんもわしやで。

ほんまかいな。。。どこまで本当なんかさっぱりわからん。

いつだったか、こんな話をしてた。
奥さんが若い頃は物凄い美人で、若かりしAさんは、何とか気をひこうとそれは色んな作戦を練ったそうだ。
奥さんは元々お嬢様で、直接会いに行っても面会させてもらえないような家なので、いつも手紙を送っていたそうだ。
その手紙の内容は内緒と言って教えてくれなかったが、手紙といっしょにある物をいつも同封していたらしい。それは、
Aさんの子供の頃からの自分の写った写真。赤ちゃんの頃のものから、徐々に成長していく自分の写真をいっしょに入れていたと。
会って話したくてもなかなか会えないから、自分のことを少しでもわかってもらうためにそうしたそうだ。

やがて自分の写真だけでなく、自分が撮った色んな写真・・・見たもの感じたもの触れたもの、感動した景色、食べたごはん、
友達と写った写真、親の写真、ある日見た空がきれいだったとか、それこそ思いつくまま送れるだけ送ったそうだ。

うーん。ちょっと唸った。それはすごい。でもそれ本当の話?作ってるんじゃないのー?という突っ込みは無視されて、Aさんの話は続く。

↓続きます。







948: もう少しここに ◆16i1keR0oc 2004/10/14 02:28:36 ID:6wlpvjzV

そうして送り続けた写真はどうなったか。めでたく結ばれた奥様がちゃんと
アルバムに整理して大事に保存してくれていたそうだ。結婚してからは、
ふたりで行った旅行先の写真や、子供の写真が増えていった。
時々アルバムを出してきては、ふたりで茶を飲みながら話をするのが楽しかったと。

「いい人だったんだねぇ。よかったね。そんな人と結ばれて。」

「ああ。最高だった。わしには出来すぎた女房やったよ。」

Aさんの話はさらに続いた。
一度家が火事になったことがあってな。隣の家で出火してうちにも火が移ってきたんや。そらもうびっくりしたでぇ。
夜中でな。女房が先に気づいてわしを叩き起こした。そらもうあっという間やったわ。箪笥から何から全部燃えてもうた。
でもな、ひとつだけ火事に遭うて嬉しかったことがあったんや。火の回りが早くて、とにかく持てるもんだけ持って
飛び出さないかんかった。わしも女房もな、一目散にアルバム取りにいったんや。なんやお前もこれが大事なんか言うたら、
「これがあれば他はいいんです」、言いよるんや。そら、何が嬉しかったて、あんなうれしいことはなかったで。


「他のものは失くしてもなんとかなるけど、これはどこにもないでしょう。私の宝ですから。」

「違うわ、わしらのじゃ。」


奥さんは10年前にガンで亡くなった。棺の中にそのアルバムを入れて見送ったそうだ。
何にも言えない。Aさんはしばらく目をつぶって思い出していた。どれほど悲しかっただろう。


「わしも、もうじきや。」

「何が?」

「もうじきあの世行きや。やっと会えるわ。」

「何言うてんねん、もうしばらくおりぃやぁ。」

酒が入ると気が弱ってすぐそんなことを言う。もうちっとおりぃや。寂しいやんか。


あれから10年と少し経つ。そのAさんも、今はもうこの世にいない。
どこまで本当だとか、いつかそれはどうでもよくなった。
心に残ったものは全部本当のことだから。ちゃんと響いたことだから。
ありがと、じいさん。父方も母方も早くに亡くなってたから、
俺にとってはあんたは本当のじいさんだったよ。

ちょっと嘘つきでお調子者だけど、思い出すと笑顔ばかりが目に浮かぶ。

あんなじいさんになりたいものだ


いつも長文でごめんなさい。読んでくださってありがとうございます。



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