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さつき姉ちゃんは4年前、病気で死んでいた。 俺はこの1カ月、4年前のさつき姉ちゃんと過ごしていた。

172: 大人になった名無しさん 2011/08/08 15:48:46

小学1年生の秋の話。

母が実家に戻らざるを得なくなり、
超ド田舎に引っ越した。

小学校までは5kmぐらいあって、
地区ごとに生徒用のバスが走っていて、
俺もそれに乗っていた。

初めて乗った日。
俺は一番家が遠いから、バスでは最後は1人だった。

「ありがとうございました」

そう言って、バスを降りるのがルールだと、
同級生や年上の人から言われていた。



バス停から家までは、1kmほどだった。

「ちょっと」

女の子の声が聞こえた。
振り返ると、坂の下に制服を着た女の子がいた。







173: 大人になった名無しさん 2011/08/08 15:49:03

超ド田舎で転校生なんて珍しかったから
たくさんの人に話しかけられた。
また話しかけられたなぁ、と思ったが、うれしかった。

「今日からよろしくお願いします」

母が口を酸っぱくして、
地区の人にあったら言いなさい、
と言われていたので、ちゃんと言った。

「引っ越して来たんだね」

制服を着た女の子は俺に近づきながら言った。

「うん、そうだよ」
「どこから、来たの?」
「横浜!」
「へえ、そうなんだ」

女の子とは途中まで一緒に歩き、
家の近くにある別れ道で別れた。


174: 大人になった名無しさん 2011/08/08 15:49:26

次の日の帰りも、バス停からしばらく歩いていると、
昨日、女の子が話しかけてくれた場所でまたあの女の子に声をかけられた。
同じように坂の下で、笑顔で手を振ってくれた。

この日は何を話したかは覚えていないが、
自己紹介をしたような記憶がある。

女の子の名前はさつき。
Y中学校の二年生だ。
当時の俺は中学校名とか言われてもよく分からなかったが、
地元の中学校だろう、と思った。

さつき姉ちゃんとは帰りの時だけしか会えなかった。
不思議と、朝は見かけないのだ。

ある日、朝も一緒に歩こうよ、と言った。

「そうね。じゃぁ、明日の6時45分にあっこの別れ道に集合ね」

バスが来る時間が7時20分だったから、
いつも早くに家を出なければいけないのだ。

家族には、さつき姉ちゃんのことは話さなかった。
幼稚園の時、女の子から好かれた時に母からかなりからかわれたので
言いたくなかった。


175: 大人になった名無しさん 2011/08/08 15:49:50

約束の6時45分。
いつも俺はこの時間には家を出るので
特に怪しまれることはなかった。

さつき姉ちゃんは既に待っていた。
確かこの日は小雪が舞っていて、とても寒かった。
俺はかじかんだ手をすりながら歩いた。

「寒いね」
「うん、さつき姉ちゃんは寒くないん?」
「温かいと思えば温かいのよ」

多分この時、こたつを頭に思い浮かべた。

「うーん、そうかなぁ」
「そうよ。私はいつもそうやって我慢してるの」

ちらっとさつき姉ちゃんの手を見た。
白い手だったが、俺の手みたいに赤くなっていなかった。

「雪、積もるかなぁ」
「優人君(俺の名前)は、横浜から来たんだよね?」
「そうだよ」
「じゃぁ、雪はあんまり見れないわね」
「そうだよ」
「ここは冬になると家ぐらいにまで雪が積もるの」
「そんなに!?」

母からそんなことを聞いていたことを同時に思い出した。

そんなこんなで、バス停に着いた。
まだバスは着いていなかった。

「私は、バスには乗らないの」

さつき姉ちゃんが急にポツリと言った。

「え?」
「ううん、ちょっとね」
「今日は一緒に乗ろーよー」
「そうね、いつかね。…あ、バスが来たわ」

俺はバスに乗って、
さつき姉ちゃんに手を振った。
さつき姉ちゃんは笑顔で振り返してくれた。


176: 大人になった名無しさん 2011/08/08 15:50:07

「誰に手を振ってるんだい」

運転手のおばさんがバスを出発させながら言った。

「あのお姉ちゃんだよ」
「お姉ちゃん?」

運転席からは見えないのか、と思ったが
特に何も聞かれなかったので、座席に座って寝た。


177: 大人になった名無しさん 2011/08/08 15:50:33

次の日の朝。
さつき姉ちゃんはいなかった。
帰りに理由を尋ねると、黙ったままで怖かった。

帰りだけでもいいや、と
思ったので特に追求しようとは思わなかった。


さつき姉ちゃんと会ってから1か月ぐらい経った日。
運転手のおばさんがバスでこんなことを聞いてきた。

「ゆう君、この前手を振ってた人って髪の長い女の子かい?」
「そうだよ」
「その子の名前、"瀬川さつき"って子かね?」
「うん、さつき姉ちゃんだよ」

この時、初めて名字を知った。
そういえば、母が「隣の瀬川さんがねぇ…」とか、
よく世間話をしていたので、その家の人なんだ、と思った。

「見たのかい?」
「見たって?」
「だから、瀬川さんを、だよ」
「うん、そうだよ」
「今も見えるかい?」
「見えるというか、会ってるんだよ、おばさん」
「…あぁ、そうだね」

その日の夕方、
さつき姉ちゃんに、あの運転手のおばさんのことを話した。

さつき姉ちゃんは頷いただけで、
その日は何もしゃべらなかった。


178: 大人になった名無しさん 2011/08/08 15:50:50

家に着くと、お寺の人が玄関にいた。
俺を見つけるなり、家の窓からあの運転手のおばさんが出てきた。
※行きのバスの運転がおばさんで、帰りは違うおじさん。

「ボク、さつきちゃんと会ったそうだね」

お寺の人が玄関で聞いてきた。

「そうだよ。さっきも一緒に歩いたんだよ」

ほらねぇ!と運転手のおばさんが俺の家族と、
おじさんおばさん(瀬川さん夫婦)をはやしたてる。

「ホ、ホントにさつきに会ったのかい…?」

瀬川おばさんが涙ながらに言った。

「うん」
「ゆう君、さつきちゃんはね、その、、、」

運転手のおばさんは言葉をつまらせた。


179: 大人になった名無しさん 2011/08/08 15:51:06

「さつきは、もういないんだよ」

瀬川おじさんが言った。

「4年前、死んだんよ、交通事故で」
「え?」

そのあと、お寺のお坊さんからお祓いを受けたと思う。
瀬川さん夫婦も、うちの家族も、運転手のおばさんもお祓いを受けた。

そのあと、いつも一緒に帰る道に塩をまいたり
お経を唱えたりした。


さつき姉ちゃんは4年前、病気で死んでいた。
俺はこの1カ月、4年前のさつき姉ちゃんと過ごしていた。

当然、次の日から、さつき姉ちゃんが現れることはなかった。



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[ 2013/10/08 22:01 ] 恋愛 | CM(1)

■コメント

なけます・・・。
せつないです・

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